【集客の最強バディAI】最新AIの「完璧なデータ」より、現場の「手作りExcel」が重宝される理由

集客の最強バディAI

「莫大な予算をかけて最新のAIダッシュボードを導入したのに、現場の営業マンがいまだに自分たちで作った手作りのExcelシートを手放そうとしない」 DX推進やマーケティング部門の責任者から、こうした怒り混じりの嘆きをよく耳にします。本部は「なぜあんな非効率で古いツールを使い続けるのか」と頭を抱えますが、現場が最新システムを横目に手作りのExcelに固執するのには、極めて合理的で切実な理由があります。

私がかつて現場で営業として走り回っていた頃、本部から提供されていたのはDOS系のシンプルなシステムでした。ドットプリンタで打ち出される帳票には、店舗への「配分された数」と「消化された数」だけがリアルタイムで印字されていました。 本部からすれば「完璧な在庫管理システム」です。しかし、最前線で商談に挑む私たちにとって、その数字はそのままでは全く使えない代物でした。現場の営業が本当に知りたいのは「単なる在庫数」ではなく、「これを売ることで、自分の予算(売上金額)がどう埋まるのか」という着地予測だからです。
商談という極度のプレッシャーの中で、暗算をしながら戦術を組み立てるのは至難の業です。そこで私は、売上を足し算する「SUM関数」と、全取引店舗の数字を引っ張ってくる「VLOOKUP」だけを使った、極めて単純なExcelシートを自作しました。 高度なプログラミングなど一切ありません。しかし、この「ただ関数で繋いだだけのExcel」が、当時の現場では重宝されました。なぜなら、数字を入力すれば一瞬で予算の着地が見え、商談中に「余計な頭を使わずに済む」からです。現場が求めていたのは、高機能なシステムではなく、目の前の商談の「認知負荷」を極限まで下げてくれる泥臭い仕組みでした。

行動経済学の視点で見れば、現代の現場が新しいAIツールを拒む理由もこれと全く同じです。 誤解してはならないのは、AIシステム自体が悪いわけではないということです。AIは「最適なターゲットリスト」や「顧客の行動データ」を瞬時に弾き出す、信じられないほど優秀なバディです。
しかし、AIが算出した無機質なデータ(正解)をそのまま現場に渡すことは、かつての本部が「在庫の数字」だけを現場に押し付けたのと同じ過ちです。膨大なデータを渡された現場は、「で、このデータを今日の商談でどう使えばいいの?」という新たな翻訳作業を強いられます。 商談の場で「データの使い方」を考えなければならない状態は、激しいストレス(認知負荷)となります。現場がAIシステムを使わないのは決して怠慢ではなく、目の前のお客様とのコミュニケーションに集中するために、認知負荷を避けるための自己防衛(思考停止)なのです。

「様々な情報や最新のAIを駆使して現場にたくさんの武器を与えているのに、なぜ理解してくれないのだろう。なぜ実際のセールストークとして使ってくれないのだろう」
そう悩むマネジメント層が立ち返るべきは、AIというツールの「使い方」です。これからの時代、ビジネスパーソンに求められる真のスキルは、AIが出した「無機質な正解」に、人間の「熱量」というアイデアを吹き込んで活かす力に他なりません。
現場を動かすためには、AIの圧倒的な処理能力を使って導き出したデータを、人間が「現場と同じ目線」でフィルターにかける必要があります。「この商談を何とかまとめたい」「お客様に納得して買ってもらいたい」という現場の泥臭い熱量を掛け合わせ、無機質なデータを「この画面を見ながら、お客様にこの一言だけを伝えてください」という、現場が一切迷わずに臨機応変に使える「極限まで練り上げられた表現」へと翻訳するのです。
AIシステムを導入して満足するのではなく、そのAIが出した答えに「泥臭い熱量」を吹き込むプロセスこそが、これからの組織における最大の競争力になります。 本部と現場の間にある深く冷たい溝を埋めるのは、最新のシステムではなく、現場と同じ目線に立ち、泥臭く伴走する人間の執念です。無機質な最強ツールであるAIに、人間の熱量を掛け合わせる。そのアーキテクチャを構築できた企業だけが、現場の実行力を劇的に高め、本物の成果を手にすることができるのです。


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